第16回 四柱推命 前編
山口荘令
10月24日 霜降
【二】四柱推命という占法について
この占法で看命する際には、戸籍上では無く、実際の生年月日および出生時間が大切な素材となります。ここでは、四柱推命によって看命する手順を示します。
ステップ1
四柱推命では、万年暦等を用いて、この生年月日時から年柱(生年の干支)月柱(生月の干支)日柱(生日の干支)時柱(出生時の干支)という四つの柱、すなわち四柱を導き出すことから出発します。
- 年柱 出生年の干支(蔵干) 十二運
- 月柱 出生月の干支(蔵干) 十二運
- 日柱 出生日の干支(蔵干) 十二運
- 時柱 出生時の干支(蔵干) 十二運
ステップ2
次に、年・月・日・時の干支の下の括弧に『蔵干』(十二支のそれぞれが自らの中に内包する干…甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)を書き入れます。(表5)この蔵干というのは、十二支の中に腹蔵された十干の要素で、十二支の中に内包されている能力・資質、資源を示しています。いわば、地中に埋蔵されている石油のようなものと単純に理解して下さい。 (本稿では、十二支の各支には複数の干が含まれると考え、『蔵干内訳表』として、複数の干が、その支の中で占める割合をパーセンテージで示しています。)
ステップ3
次に年月日時の柱の下に『十二運』を書き入れます。(表6)十二運は、出生日の干(日干…日主ともいい、自分自身と見做す)を基準にして、年・月・日・時・各柱の十二支との組み合わせから導き出します。
ステップ4
次に(表8)を使って『変通星』を導き出し、年柱、月柱、時柱の干に附します。変通星は十種類あり、日干から年干、月干、時干をみて導き出します。日干に変通星は附しません。(変通星の意味は後述)(また、命式が複雑になるのを避けるため、本稿では、蔵干にも変通星を附しません。)
ステップ5
次に『空亡』を日干より導き出して命式表の外側に記しておきます。空亡は、別名を天冲殺ともいいます。空亡の解釈は幾通り(十二通り)もあり、一言で説明するのは難しいのですが、敢えていうならば、量から質への転換周期であり、あるいは終末から再生のサイクルを示す周期といえるでしょう。
ステップ6
次に大運という運勢の周期を割り出します。
ステップ7
次に身旺、身弱の別を決めます。
ステップ8
次にその命式の特長や特質を顕す『○○格』というような推命術上の呼び名を決めます。
ステップ9
次に命式を扶け、サポートする調候用神および用神を決めます。これらは、自分を見守ってくれる守護神のようなものと考えれば良いでしょう。命式の中に用神や調候用神を有している人は殊の外、好運に恵まれているといわれています。仮に、命式の中に無くても、巡り来る行運の時にその特質を発揮します。つまり用神や調候用神とともに好運の時が巡ってくるのです。
ステップ10
次に命式を飾るアクセサリーともいうべき各種吉凶神を導き出します。(表9、表10参照・吉凶星の意味は後述) 命式に吉神である貴人を多く持っている人は、それなりに運もよいようです。それは、日干より見て、財・官・食・傷にあたる支に配当されているからです。また、吉神(貴人)が命式中に顕在しなくても、これらの吉神は、年・月・日ごとに巡り来る『行運』とともにも巡ってくるので覚えておくと楽しみです。また、好運の時を捕えるためにも知っておくと有益です。例えば、貴人の中でも最高位の吉神である『天乙貴人』などは、一切の凶殺を消すとともに、女性ならば才知に優れた男性に縁があるとされ、また学問、芸術に秀るなどの吉作用を持つといわれています。私はこれらの吉神を命式を飾る最高級ブランドのアクセサリーと呼んでいます。
ステップ11
最後に、合・冲・刑・穿などの専門用語や記号を命式の中に書き入れると命式は完成します。
※注
四柱推命の命式作成は、年月日時がもとになります。しかし、四柱推命の諸学説の間では、年や月や日の定義に関しては幾つかの議論があります。特に年首の定義における代表的な学説として、年首を冬至の日と定める学説、年首を旧暦の一月元旦(春節)と定める学説、さらに立春の日を年首と定める学説などがあるのですが、本稿では『年首・立春説』を採用しています。