第8回 墓相
林 隆造
6月22日 夏至
石塔と石碑の違い
墓石には石塔と石碑があります。この違いは、葬法の違いによるものです。土葬で遺骸を埋葬する場合は、石碑とします。また、火葬によって遺骨を埋葬し、その家代々の遺骨を納める場合は石塔となります。
吉相の墓碑
和型墓の吉相は二段の台石の上に、長方形の竿石をのせたもので、下図のように構成されます。
<第1図>
墓石の大きさは、竿石の横幅を尺貫法で表し、七寸角・八寸角・九寸角・尺角・尺一寸角・尺二寸角とよんでいます。幅と高さの関係は、竿石の幅が、一尺の場合は二尺五寸を一対二・五の割合になります。
墓石に使われる石は、子孫の代にわたって永くお祀りしていくものですから、永年の風化に耐え、刻んだ文字が見やすく、美しい仕上がりの石であることが大切です。石の種類としては、硬くて美しい、みかげ石として親しまれている花崗岩です。みかげ石は種類が多いのですが、色の上からみると白色が良く、白みかげ(茨城)、稲田石(茨城)、真壁石(愛知)、岡崎石(愛知)北木石 (岡山)などです。これらの素材を使用して作られたものが、吉相の墓石となります。
次に、好ましくない墓相としては、自然石で作られた墓があります。自然石は、自然の趣きがあって良い印象を与えるものの、墓石としては戒名などの彫刻がしにくい難点があり、文字が奇麗に浮き出てきません。材質としても脆くて風化に弱いところがあります。
この他に、変わった形のお墓もありますが、あまり珍奇な形や、丸形や三角を組み合せた不安定な形のものは避けたほうがよいでしょう。これらは、墓相としては良くないものです。
<第2図>
また、次に記すようなものは避けるべきであります。
墓地の中に大きな木があって、枝や葉から雨の滴が墓石に落ちるのは良くありません。
墓石にひびが入ったり、割れたり欠けたりしているもの、高圧線の下に当たる墓地は良くありません 。
猫足、蓮華台、布団台の墓石も、なるべくなら避けたほうが良いでしょう。
墓所内には植木を植えないことです。
墓地内を板石で敷きつめたり、コンクリートでぬり固めるのは良くありません。
自分の墓を自分で建立する場合、専門家の意見をよく聞いて行なうことが肝要です。親戚や知人と共に建墓するなどは良くありません。
墓相が吉相であることは望ましいことですが、それだけでは十分とはいえません。供養のこころが正しく表現されていることも、また重要なことであります。