一般財団法人 東洋運勢学会

特集・節気刊運勢学

第17回 四柱推命 後編

山口荘令

11月8日 立冬

【六】変通星の持つ意味と吉凶星のもつ意味

変通星は、日干(日主)から年、月、日の干との関係で導き出す星です。自己の命式の年柱、月柱、時柱に導き出された変通星は、その命式を判断するための重要な要素となります。(命式判断に関しては、紙面の都合でここでの説明は割愛します。興味のある方は専門家の鑑定をお受けになるとよいでしょう。)
本稿では、変通星は巡りくる行運(特定の年月日に巡る運勢)の運勢判断に用います。

比肩 独立・決行・自覚の星・志望達成独自の星
劫戝 大凶 破壊・厭世・倒産の星・倦怠逆境欠陥の星
食神 小吉 陽気・油断・人気の星・創意工夫食禄の星
傷官 大凶 不和・対立・傷害の星・凶禍変転悪評の星
偏戝 中吉 経済・繁栄・交渉の星・活躍発展財運の星
正戝 大吉 整理・収穫・蓄財の星・経済安定富栄の星
偏官 中吉 改革・転換・合理化星・改善貫徹義侠の星
正官 大吉 完成・成功・主導の星・自己確立経綸の星
偏印 小凶 挫折・齟齬・探求の星・風流追求道楽の星
印綬 大吉 勤勉・研鑽・賢母の星・学術芸術生命の星

【七】十二運星の持つ意味

十二運は、母の胎内に命が芽生えてから、この世を去って土に帰るまでの生命のサイクルを表し、人の生より終わりに至るまでを喩えた言葉です。自分の命式や行運の十二運が病・死・墓・絶となった時でも、病気するとか、死ぬとかという意味ではありません。
(十二運で直接運勢を看ることはしませんが、運勢を判断する際に、補助的な役割を果たすこともあります。)
尚、現代の新しい推命術の学説では、十二運は十二誘導星とも呼ばれ、生日の十二支に附された十二運を、特に基運と名付けています。

陰陽交わり新たな生命が母胎に宿った状態を示す
母親の胎内で栄養を摂取している状態を意味する
長生 胎内で培養された生命がはじめて踊りだした状態
沐浴 誕生後、沐浴して胎垢を洗い落している状態の意
冠帯 教養も身に付き容姿を整え威儀を正し元服する意
建禄 時の勢いと地の利を得て社会活動の中枢にいる意
帝旺 才能発揮の頂点にあり勢力旺盛を示している状態
活躍期を後にし徐々に壮年期より初老に至る意味
体力の限界を迎え心身弱体化し病となる喩えの意
あらゆる機能が停止し沈黙の状態にある喩えの意
地上に存在するものは還土の状態にある喩えの意
一切が終息し静止の極に到達する状態を喩えた意

【八】生日(日干)より導き出す吉凶星のもつ意味

以下の吉凶神は、命式の判断にも用いますが、巡り来る行運とともに訪れますので、行運における運勢判断の一助として参考にして下さい。尚、ここに記した吉凶神の他にも多数の吉凶神がありますが、本稿では後述の吉凶神の紹介に止どめます。

大極貴人 家運衰退していても晩年に至り再興する星
天乙貴人 吉神中最高位の神として凶を避け才知に秀で衆人の欣慕を集め自然に発達する貴人星
福生貴人 祖先の恩恵を受け生涯困苦に遭わない吉星
天厨貴人 この貴人は福禄優悠の恵みを受ける貴人星
天福貴人 この星を持つ人は談笑裡に栄達する貴人星
天官貴人 天元の秀英を示し能力を発揮する好運の星
文昌貴人 学術芸術芸道に秀で創造力に富む貴人の星
節度貴人 何事にも分と節度を弁え穏健な節操穏健星
羊 刃 事故や怪我などの厄災を暗示する不遇の星
飛 刃 人のとばっちりを受けやすい凶象を示す星
暗 禄 生涯財に恵まれ破局寸前に救助を得る吉星
金輿禄 男性は賢良の妻。女性は夫を世に出す吉星
夾 禄 二業を兼任したり二家の財に縁のある吉星
紅 艶 資性温順にして愛嬌あるも節操に欠ける星
流 霞 他人の受けは良いが夫婦縁の変化を示す星
この日生まれは剛毅にして意思を貫徹する
日 徳 慈善陰徳を施す性のため厄災より免れる星

【九】生月の支より導き出す吉凶星のもつ意味

天徳貴人 天地極神の星で禍を慶福に転じさせる吉神
天徳合 天徳貴人に準じる貴人で福力を導き出す星
月徳貴人 天徳を太陽、月徳を太陰とし至福を導く星
月徳合 月徳貴人に準じる星で雨露の恵みを施す星
日時華蓋 孤寡の星だが芸術分野には吉祥をもたらす
月 空 生月生日にあれば世の顕表に立つ吉意の星
飛廉殺 男性は流浪し女性は巷に身を沈める疾念星
白衣殺 男性は妻子に、女性は夫子に先立たれる星

以上で四柱推命の簡単な解説を終わります。割愛せざるを得なかった項目も多数ありますが、必要な事は解説をしたつもりです。

四柱推命は、生年月日の中に秘められた自己の個性を知り、自分と自分以外のものとの区別に気付くことによって、他者との違いを自覚することに役立つ『人間学』のひとつとして活用して頂きたいと存じます。